2013年6月14日金曜日

半期末を控えたファンド筋のポジション調整が、既に終わったのか? まだ続くのか? これが問題。

週末金曜日のアジア市場は、日本株が前日13日の高値水準となる13000円台まで値を戻して始まったが、126300円近くまで下落、一時12900円近くまで値を戻したが、大台を回復できず、欧州市場に入っても12600~12800円のレンジで推移。

半期末を控え、新興市場国アセット下落(トルコリラ下落+南アランド下落+インドルピー等の新興市場国通貨も下落+損失拡大)→ 米債下落(利回り上昇し、損失拡大)→ 株価下落(利食い+損失の穴埋め)→ 円高(利食い+損失の穴埋め+ショートポジションの巻き戻し+安全資産買い)の調整が進み、既に終わったのか?まだ続くのか? これが問題。

それと、6月17日・18日 日本時間午後11時から)のバーナンキFRB議長の半期に一度の議会証言。そして、6月19日=FOMC。

前日のWSJコラミストで、FEDウオッチャーとして有名な、ヒルゼンラス氏が、バーナンキFRB議長はFOMC後の記者会見で、「QE縮小は利上げを意味せず」と、「QE縮小=出口戦略の開始」ではないことを強調する可能性、「金利引き上げと資産購入の縮小に時間をかけることをマーケットに分からせる」ことを発言する可能性があることを示唆....。 

現在進行形の、半期末前のポジション調整がどこまで進んでおり、いつまで、今後どこまで続くかが焦点となっている。しかし、これを度外視すれば、基本路線はバーナンキFRB議長の議会証言と、FOMCの結果をみるまでは新たなポジションをとることができないことは、予想できる。結果として、来週のビックイベントを前にして、値幅の広いレンジ相場に入る可能性が高いと予想。

米経済指標を2秒早く配信!

ロイターなどが割増料金で、米経済指標を2秒早く配信しているとのこと。知っている人が多いかもしれませんが、私は初めて目にしたので驚きです。 大手投資家が儲かる可能性があることに変わり無いようですね!? 
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323504304578543002563201458.html?mod=WSJJP_hpp_RIGHTTopStoriesFirst

13日は、強い米経済指標、株高+円安+AUD・NZD高、USD小幅安。ヒルゼンラス氏のコメント、ドラギECB総裁とバイトマン独連銀総裁、IMFとESM責任者の意見対立が目立った。

13日は、強い米経済指標、株高+円安+AUD・NZD高、USD小幅安となった。FEDウォッチャーのヒルゼンラス氏のコメントを注目。欧州では、ドラギECB総裁とバイトマン独連銀総裁の対決、次に、IMFとECBやESM責任者の意見対立が目立った。

今週に入りドル指数は下落を続けている、6月7日(金曜)=81.669、10日(月)=81.646、11日(火)=81.113、12日(水)=80.947、13日(木)=80.666。

米経済指標は強く、日米株先物は上昇を開始し、現物株はDJIAが+180.85(+1.21%)上昇したが、米10年債利回りは低下。 為替市場では、ドルは小幅な下落基調が続き、円売りへと動き、AUD+NZDの買い戻しが強まった。

◎米週間新規失業保険申請件数が予想外に強く、米株高へ動く「33.4万件(予想34.5万件 前回34.6万件)」
◎米小売売上高が、住宅建設資材や自動車購入の増加で、予想を上回り、消費に明るさが見られ米株高へ動く「前月比0.6%(予想0.4% 4月0.1%)、除く自動車=前月比0.3%(予想0.3% 4月0.0←-0.2%)」

◎市場が注目したのは、FEDウォッチャーのヒルゼンラス氏(WSJ紙)が、来週のFOMC後の記者会見で、バーナンキFRB議長は「QE縮小は利上げを意味せず」と、「QE縮小=出口戦略の開始」ではないことを強調する可能性を指摘。「金利引き上げと資産購入の縮小に時間をかけることをマーケットに分からせる」ことを発言する可能性があるとのこと....。

◎また、来週バーナンキFRB議長の半期に一度の議会証言(6月17日・18日日本時間午後11時から)を注目し、6月19日のFOMCを直前にしたこの議会証言に注目が集まることは間違いない。

◎11日・12日のドイツ連邦憲法裁判所のOMT審理や前後の発言で、ドラギECB総裁は「債券買い入れの決定は必要だった」、「ECBの権限を弱めるべきでない」と発言。バイトマン独連銀総裁は「中銀の独立と安定で再び疑問が生じている」、「中銀が時に責務を大きく越えたため、中銀自体にも責任がある」、「中銀は実行できないことを確約するべきでなく、確約すると中銀の独立性に対するリスクが増大する恐れがある」と発言していた。

◎また、バイトマン独連銀総裁は「各国の極端な低金利は長期的なリスクがあり、適切な時期に引き締めを行うことが中銀の課題」と発言している。

◎対立する意見が続くECBとIMFだが、さらに、レグリング欧州安定化メカニズム(ESM)責任者は「IMFは安定・成長協定を踏みにじり、成長支援に関わろうとしている」、「矛盾があるだけでなく、ユーロ圏のルールを理解していない」、「IMF・ECB・EUのトロイカ調査団は最終的に解散する必要がある」と発言。

2013年6月13日木曜日

EURJPYと日本株の関連性。


下図はMonthlyチャートで、橙色・濃い青のローソク足が、日経先物で、青・やや濃い青のローソク足が、EURJPYのMonthlyチャート。



一目了然の通り、日経先物の値動きとEURJPYの値動きは、ほぼパラレルに動いている。この関連性は日経先物とUSDJPYの比ではなく、今後の日本株を占うに、EURJPY相場(あるいは、EURJPY相場を占うに、日本株)を、同時に比較してみることも楽しい。


日経先物のWeeklyチャートでは、86161(2012年11月)安値→15982(2013年5月)高値の、23.6%=14244をブレークし売りが加速、38.2%=13168も割り込み、50.0%=12299が重要なポイントとなっている。



今週は、日本株がこの水準で下げ止まるのか、これを割り込み、61.8%=11430まで続落するのか、見極めたい。


ところで、EURJPYのチャートではどうだろうか?
左図がWeeklyチャートで、右図はMonthlyチャート。共に引き続き上昇トレンドが続き、Weeklyチャートでは、ストキャスティクスが売りへ既に変化済みで、119.108(安値)→133.80(高値)の、50.0%=126.45をブレークし、61.8%=124.72がターゲットに入っている。



Monthlyチャートでは、月末まで必要があり未確定ながら、現状ではストキャスティクスが売り変化する可能性が高くなっている。ただ、上昇トレンドラインを割り込むまでの下げに至っておらず、94.115(安値)→133.80(高値)の、38.2%=118.64がポイントで、50.0%=113.96へと続く。

ただ、現状ではEURUSDが、1.32、1.33の上値をブレークし上昇していることを考えれば、下落幅は弱まり緩慢になる可能性が高い。

したがって、EURJPY=日経先物の理論だけを考えれば、遅かれ早かれ、ハードランディング的な調整局面は終了する可能性が高いが、大幅な上昇局面は、残念ながら考えにくくなっている。

USDJPYのトレンドは?

USDJPYのトレンドは?

大手投機筋を含め、投資家は、株ロング・円ショート・EURショート・GBPショート・AUDロング....などなど、正にポジション・クローズ一色。

USDJPYのMonthlyチャートは、1998年から続くドル安トレンドの上限で、今回の上昇局面のターゲットと考えていた105円~108円台を試すことなく、下落へと変化した。

2012年10月以来続いた、陽線(上昇)から、このままでいくと、9カ月ぶりに陰線へと転換し、ストキャスティクスは売り(月末まで未確定)へと変化する。これらを材料として、弱気なムードが強まることが、ある程度見越す事ができたのだが....!?

どうも、相場感での円安期待が強過ぎたことが要因なのか? 予想外に膨らんだポジションを、6月の期末要因で一機に爆発したのが原因なのか? 不明ながら、結果は、期待したソフトランディングの時間調整ではなく、ハードランディングのハードな値幅調整となっており、これは誰が見ても明らかで、相場の読み違い。

左図のMonthlチャートで、124.13円(2007年6月)→75.56円(2011年11月)の、61.8%=105.58円が、今回の上昇トレンドのターゲットで、達成することを期待していたが、今現在は見事に裏切られている。



右図のMonthlチャートで、77.13円(2012年9月)→103.73(2013年5月)の、23.6%=97.46で既にブレーク、38.2%=93.57円でこれが目先のターゲットになってくる。



そして、よりハードな値幅調整が続くと、50.0%=90.43円、そして、61.8%=87.29円となるが、どうも、相場感からは(市場参加者の期待値にもよるが)、このような円高を期待してはいけないと思えてならない。

黒田日銀総裁が「日銀は物価2%へ向けた国債購入で未踏の領域に足を踏み入れる」と宣言し、株高+円安のスタート地点で、今回の出発地点となる4月4日の水準(安値92.73円、前日終値93.04)に逆戻りの理論からすると、93円台が大きなポイントで、今回の円高局面のボトムと考えたい。

ちなみに、4月4日当日の日経平均株価の安値は12075.97円、前日終値は12362.20円で、非常にパラレルに動いている。

アジア市場 止まらぬ株安+円高+ドル安、しかし、AUD+NZDは弱い

アジア市場 止まらぬ株安+円高+ドル安、しかし、AUD+NZDは弱い

◎アジア市場では、日経平均株価が一時870円近くと大幅に下落、終値では前日比-843.94(-6.35%)と激しい下落となった。連休明けの中国市場でも株価の下落は止まらず、日本10年債利回りも一時0.8%近くまで下落、USDJPYは95.00円を割り込み94円近くまで円高が進んだ。
→ 安倍首相と黒田日銀総裁の会談で「総裁はは強い決意で金融緩和を進めると首相に説明」したが、市場は円売り+株高へ反応せず。

◎過去を振り返ってみたい。4月4日、日銀金融政策決定会合の決定で大胆な追加緩和が決定され、黒田日銀総裁が「日銀は物価2%へ向けた国債購入で未踏の領域に足を踏み入れる」と発言、株高+円安が加速した日。 

→ 日経平均株価は4月3日の終値12362.20から、4日には12634.54へと上昇、12000円台をクリアに超えて株高がスタート、USDJPYは重かった96円台を再びトライし、翌日から円安相場がスタートした記念する日でもある。 

→ 今、70日近くを経てその水準に逆戻りした。円安+株高が再スタートするのか、それとも、割り込み続落するのか、正にその出発点まで値を下げている。 ソフトランディングの時間的調整の期待が裏切られ、ハードランディングの調整局面に入り、


◎NZ中銀は予想通り政策金利2.5%を据え置き、NZドル高を避けるために、現行金利を年内維持する予定との発言に、NZD売りの流れが強まる。
→ 政策金利2.5%の据え置きを据え置きを決定、予想通り「2014年3月期のGDP見通しを3.3%→3.0%下方修正、2015年3月期は2.8%で据え置く」
→ ウィーラーNZ中銀総裁の声明で「NZドルは過去数週間下落したが、なお過大評価されており、貿易部門への逆風が続いている」、「金利水準を年末までに維持する見込みで、それ以外の手段の活用にも向かっている」、「適切な局面で為替介入を目指すだろう」と発言。

◎豪雇用統計は失業率は予想より改善し、一時AUD買いが強まるが、0.95超えの上値は重く株安の流れに伸び悩む。
→ 失業率5.5%(予想5.6% 4月5.5%)、新規雇用者数=前月比0.11万人(予想-1万人 4月5.01万人)

要因を考えると
◎6月末は半期末決算に当たり、海外ファンド筋が利益確定やポジション調整へ動きやすくなっており、テクニカルポイントを割り込むと、円買いが加速している。 

また、弱い日本株で、株価下落=リスク強度低下のシナリオに、安全資産としての円買いが続いている。 もしかしたら、7月の参議院選挙で自民党が圧勝しても、安倍首相の成長戦略に対して、予想以上のサプライズがなく、失望する可能性があることを危惧しているのか?

◎今日の海外市場では、引き続きFRBの資産買い入れプログラムの規模縮小の見通しとその時期で動く可能性が高い。
今月18、19のFOMCでは、インフレ率と雇用市場がどこまで改善されれば、「月額850億ドルペースの債券購入を見直すか」との問題がテーマ。ブラード・セントルイス連銀総裁は、今週の発言ではインフレ目標が2%を下回っていれば、債券購入の長期化が正当化されると発言。引き続き、当局者の発言と今日の米経済指標には要注意。

早朝は、NZDが主役。

早朝は、NZDが主役。

昨日も特に重要は経済指標はイベントもなく、ドル安+株安+円高の流れが続く中、終わって見れば最近の大相場の中では、小動き。その中で、NZDは1.51%上昇するなど、特別目立っていた。

その中で、早朝に発表された、NZ中銀の政策金利は2.5%で、大かたの予想通り据え置きを決定。 
声明では、年末まで据え置く見込みで、NZドルの過大評価と住宅市場がリスク と、引き続きNZD売り介入警戒感が残り、2013年度のGDP見通しを3.3%→3.0%下方修正し、発表直後は、0.7990台→0.7930近くまで下落した。

早朝の薄商い、取引参加者が少ない中、他の材料が少ない中、NZDの変動だけが目立っていた。

直近の値動きでは、二日前0.7800割れを試しサプライズの下落、昨日は0.8000台まで上昇するサプライズの上昇。ボリンジャーミッドバンドの0.8037を超えてくれば面白いが? あまり期待できず。

今週に入り、ギリシャ問題が再浮上

今週に入り、ギリシャ問題が再浮上

10日にはギリシャ国営ガス会社のDEPAの入札で、応札がなく失敗し、民営化計画に暗雲がたちこめたのに続き、11日にはギリシャ国営放送のERT閉鎖を決定したことで、市民や政治家から政府への抗議が広まる。 

12日にはMSCIがギリシャを先進国から新興国へ引き下げ、ギリシャ連立政権の3党の内、2党はERT閉鎖に反対し、今後に懸念が生じ、ギリシャ株は2カ月ぶりの安値をつけ、10年債利回りは10%を超えた。

EURUSDの相場は、全く気にせず。さらに、ドイツ連邦憲法裁判所のECB債券買い入れプログラム(OMT)の合憲性の審理に関する公聴会でも、ドイツ政府要人は軒並みECB支持を表明(除く、バイトマン独連銀総裁)し、違法性はない! とのことなのか? これも、全く気にせず、1.3200台、1.3300台と、底値を切り上げている。

まあ、1.3400台をすんなり超えることはなさそうで、1.3300~1.3400は鬼門で、要注意。

昨日も、株安+円高の流れは変わらずだが、やや不気味

昨日も、株安+円高の流れは変わらずだが、やや不気味

日経先物は13400円近くまで上昇したが、再び13000円を割り込み一時12900円を割り込み、USDJPYは97円台まで値を戻したが、再び95円割れを試す動きへ変化。

USDJPYは、引き続き、気がつけば97円近辺の取引レートが目立ち、95.00~99.50のレンジで推移している。これを、レンジ相場の揉み合いから、再び円安(USDJPYは上昇)する、ソフトな時間調整の局面と考えている。

日経先物が13700円台で上値が重くなり、直近では13600円台の上値も重くなり、13000円が既に下値の重要なポイントではなく、通過点となりつつある。USDJPYの動きと同じく、レンジ相場の揉み合い(12000~12800)で、ソフトな調整の局面を迎え、再び株高へと変化することを予想している。

しかし、USDJPYが95円割れのストップを付け、日経が12000円割れのストップを付けた後に反発、との、ハードな最後の調整局面の可能性もやや気になっている、今日、この頃。

WSJ紙に「....語りたがらない10の事実」という、コラムがある。

WSJ紙に「....語りたがらない10の事実」という、コラムがある。http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323504304578540890160359744.html

今回は「エコノミストたちが語りたがらない10の事実」で、回りの意見や助言を考えるに当たり、見るに値すると思われる。

まあ、一言で説明すると、「誰も次の危機を予想することはできず、発言には隠された意図があるかも知れず、多くの提供される情報は普通の人にもわかっていることでしかない」...とのこと.

スペキュレーション(投機)は、取引システムに頼りきらず、専門家の助言に頼りきらず、周りの意見に流されず、自己判断も多く取り入れ、自己責任の元にやるしかないのでは? 

もっとも、このことも普通の人にとって、わかりきっていることでしかないかもしれないが!

2013年6月12日水曜日

USDJPY?

前日に米株が下落し、日経先物も大きく値を下げたことで、アジア市場は円高+株安の動きが予想できる。ある程度は米国市場で現状レートに織り込まれていると思うが、どこまでこの流れが続くか不安でならない。

株価続落局面では、政府・日銀(黒田総裁)から、何らかの支援発言を発する可能性高く、この発言の期待や内容待ちの展開も考えられ、USDJPY=95円台では本邦資本筋のドル買い期待も残っている。

しかし、先の安値94.99円を割り込むと、更なるストップロスが実行される可能性が高く、先週の米雇用統計直後の無理やり付けた95円の展開と同じく、なにが何でも試さずに終わらない可能性も強まっている。

今日は株価を注視しながら、材料が出るまでは、USDJPYは96円中心の相場展開で、97円+-20ポイントを高値と考え売り。97.50を超えたら撤退。95.00円割れを試し、ストップロスが行使されたら、売りを終了し、ポジションスクエアーとし、様子見。96円台達成できず、95円台戻らずの局面では再びショートを考えたい。

ドイツ国民3.5万人超が苦情を申し立てをしていた、ECBの債券買い入れプログラム(OMT)。

ドイツ国民3.5万人超がが苦情を申し立てをしていた、ECBの債券買い入れプログラム(OMT)。

OMTの合憲性の審理は6月11日~12日の二日間の日程で、ドイツ連邦憲法裁判所で始まった。 ショイブレ独財務相やフォスクーレ・ドイツ憲法裁判所長官は、OMTの合憲性を憲法裁が判断する権限に関して疑問を投げかけ、ECBは欧州連合(EU)法の管理下にあり、国内憲法裁に裁量権があるか疑問が上り、欧州司法裁判所(ECJ)に付託される可能性もでている。 もし、OMTの合憲性の判断がECJに付託されたら、合憲の判断を下す可能性が高いと言われている。

◎独紙ハンデルスブラットが世論調査会社フォルザの調査に基づいた報道=「ドイツ国民の48%が、ドイツ連邦憲法裁判所がECBのOMTを差し止めることを望む」

◎フォスクーレ・ドイツ憲法裁判所長官=「ECBの債券買い入れプログラム(OMT)がユーロ圏の危機鎮静化に成功したことは、OMTが合憲か否かについての判断に影響しない」、「広義で成功とみなされるかどうかは、法的基準・措置の合憲性の判断に影響を及ぼさない」

◎メルシュ・ECB専務理事=「OMTは正式には無制限だが、厳格な条件があり実施には理論上の制限がある」

◎アスムセンECB専務理事=「OMに関する公聴会で、ユーロ加盟国は債務削減が必要になると想定していない」、「OMTは無制限であるが、事実上は制約を受けているのは誰の目にもあきらか」

◎バイトマン独連銀総裁=「OMTでユーロ加盟国の改革意欲が低下失速し、ECB自体の信頼性が揺らぐ恐れがある」、「OMTの本質的な取り決めは好意的だが、緊縮化と改革に向けた取り組みが減速し、ECBの金融政策に対する信頼感が損ねられる恐れがある」、「ユーロ加盟国の支払能力に対するリスクを、金融政策を通して相互化することには問題がある」

◎メルケル独首相=「OMTへの支持を表明」、「◎ECBは金融の安定を確実にするために必要な措置を講じている」

◎ショイブレ独財務相=「裁判所はECBの独立性を尊重し訴えを退けるべき」、「ドイツ国民がECBの措置に反対する訴えを憲法裁判所に起こすことはできない」

株安+円高が加速し、6月6日・7日の再来

ドル円は過去二日間の上昇幅の多くを失い、終値ベースでは98.756→96.027円と2.73円(-2.76%)と大幅な円高となり、日経先物も一時12900を割り込み13000円近くで取引され、長期金利は上昇し、激しい円高+株安がまたしても再来。

7月の参議院選挙の円売り+株高材料の期待を残しながらも、直近の円安を期待した「頼りの綱」は、日銀は「資金供給オペの期限を延長を見送り」、黒田日銀総裁は「長期金利の変動率も落ち着き、1年超の長期資金供給オペ導入は不要」との結論をだした。

この結論に反応したのは、国内より海外ファンド勢で、株安+円高が加速し、6月6日・7日の再来となった。

EUR+GBP+CHFは上昇、AUD+NZD+CADは下落、引き続き二極化した値動きとなった。結果、EURAUD、GBPAUDの上昇は続き、EURAUDは3月末に1.2230台→1.42台まで上昇する大相場。

EURUSDは、ドイツ連邦憲法裁判所のECB債券買い入れプログラム(OMT)の合憲性の審理に関する公聴会(11日~12日)が続く中、安全資産買いの流れが続き、終値ベースで2月21日の高値をついに超え、に1.3300の大台を達成して終了した。

AUDUSDは、豪住宅ローン件数が弱く、NAB企業景況感指数=-4(4月-6)、企業信頼感指数=-1(4月-2)とやや持ち直したが、0.9500台を回復できず、リスク資産売りの流れに0.9325近くまで一時下落、NZDUSDも0.7760近くまで一時下落した。

GBPUSDは、英RICS英住宅価格=◎5(予想4 4月1)と2010年6月以来の高水準で、英鉱工業生産=前月比0.1%(予想0.0% 3月0.7%)と3カ月連続増加し、製造業生産高=前月比-0.2%(予想-0.3% 3月1.1%)も予想よりマイナス幅が少なく、安全資産買いの流れに、超えることができずにいた1.5600の大台をつに超え、2月13日の水準まで値を上げ1.5650近くまで上昇。




激しい円高はクロスでも目立ち、EURJPY=131台→127近くまで一時下落、終値ベースでは2.35%下落、AUDJPY=はついに90円の大台近くまで値を下げ、終値ベースで前日比3.16%下落した。



2013年6月11日火曜日

ドイツ政府は10.3兆円節約 

ドイツ政府は10.3兆円節約 

◎ドイツ・キール世界経済研究所(IfW)の試算では、ドイツ政府は、金融危機の始まりに、国債利回りの低下で2009~2013年の期間800億ユーロ(約10.3兆円)節約、2013年では約130億ユーロとのこと。

日本国債は1%以下の水準が長期に渡り、いったい何兆円節約したのであろうか?この利益はいったい何処へ?

◎欧州では、ECBの債券買い入れプログラム(OMT)が、ドイツ連邦憲法裁判所で合憲とされるか否か、今後の重要な材料になっている。

ドイツの選挙後に結果が発表される可能性が高いといわれ、、拘束力のないこの裁判所の合憲・違憲の判断でも、EUR相場は短期的に動くことが予想される。

前日に、ドラギECB総裁が、「OMTはユーロ防衛のためで、加盟国の破たん回避が目的ではない」と、やや疑問が残る発言をし、独紙ハンデルスブラット報じた、世論調査会社フォルザの世論調査では「ドイツ国民の48%が、ドイツ連邦憲法裁判所がECBのOMTを差し止めることを望む」とあり、この高い数字には驚く。

また、フォスクーレ・ドイツ憲法裁判所長官は、「ECBの債券買い入れプログラム(OMT)がユーロ圏の危機鎮静化に成功したことは、合憲か否かについての判断に影響しない」と、結果的な成果で判断しないことを示した。

落ち着き始めたと思われた金融市場はまたしても大波乱

欧州市場は、アジア市場に続き欧州株=全面安、JPY全面高、EUR+CHF=上昇、GBP+AUD+NZD+CAD=下落、原油+金=下落、債券利回りは上昇。

日銀の金融政策決定会合で、資金供給オペの期限を延長が見送られ、黒田日銀総裁の記者会見では、「長期金利の上昇抑制策に、1年超の長期資金供給オペ導入を議論したが、長期金利の変動率も落ち着き不要との結論」、期待を裏切る結果に 落ち着き始めたと思われた金融市場はまたしても大波乱。

午後9時近くでは、EUR STOXX50=-1.93%、独DAX=-1.53%、英FTSE=-1.60と大幅下落となり、日経先物は一時13000円を割り込み、米株先物は15100近くまで下落。

USDJPY=約99.00円→一時96.50円を割り込み、EURJPY=約131.30円→128.10台、AUJDJPY=約93.70→90.20円近くと大幅下落。

中長期の円安見通しが変わることはないが、こう、株安が続くとよっぽど良いコストの円ショートポジションを根っこに持っていなければ、安心して塩漬けすることができないでいる。



円ベア派には期待を裏切る日銀の金融政策決定会合

日銀の金融政策決定会合では、一部で期待された、前日の海外市場で円売り+日本株買いの要因ともなった、資金供給オペの期限を延長が見送られ、円買い+株安へと動く。

不動産投資信託(J-REIT)の買い増しが見送られ、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れ枠も据え置かれ、軽い失望感に、株安+円高へ動き、USDJPYの売りがリードするドル安の流れに、主要通貨でドル全面安。

円ベア派にとっては期待を裏切られる結果となったが、大きなサプライズではなく、日経平均株価の下げも1.45%にとどまり、USDJPY=97.50円~99.00円のレンジで推移する可能性が高まっている。

金曜日・月曜日のギャップを埋める動きを予想しながらも、97.50円を割り込んでクローズすると、話は別で、96.50~99.50のレンジと、ややベアになり、レンジもワイドになるが、一部で危惧しているような93.00円までの円高相場は考えにくい。

◎その前に、前日NY市場で0.9450を超えて上昇していた、AUDUSDは短期投機筋の売りに0.9450を割り込むと続落を開始し、豪住宅ローン件数、NAB企業景況感指数+企業信頼感指数の発表を受け、0.9400を割り込むと一機に0.9380近くまで下落した。

後に、ドル売りの流れに値を戻したが、上値は限定的で、2011年10月の日中ベースの安値0.9387を割り込んだことで、下落傾向が続きそうで、終値ベースでこの水準を割り込むと、現在続いているベア・トレンドがさらに継続する可能性が高まるが、1.9500近くまでの戻りはいつも覚悟する必要がある。

◎ドイツ憲法裁判所のECBの債券買い入れプログラム(OMT)と欧州安定化メカニズム(ESM)の合憲性判断が注目され、11日~2日間審理を開き、承認するかどうかを判断する。 市場では、判断は9月22日のドイツ総選挙後に結論を出すとの予想が強い。

ドラギECB総裁も、ECBの債券買い入れプログラム(OMT)はユーロ防衛のためで、加盟国の破たん回避が目的ではないと、予防線を強く張っている。

EURUSDは重要なポイントとなる、1.3250を超えたことでブル派が喜ぶ展開となっているが、中期的には1.3100~1.3400のレンジを予想し、1.3500を超えるにはより強い材料が必要と思っている。短期的には1.33台が定着できないと、1.3180、1.3110までの下落へと動く可能性が高くなる。

今、焦点は、「アベノミクス・黒田日銀総裁の次の一手」と「FRBの資産買い入れプログラムの規模縮小の有無と、その時期」の二つ。

欧米市場で、S&Pが米国の格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げ、為替市場ではドル買いへと動いたが、予想外に米現物株の伸びが鈍く、逆にドルは伸び悩み、終わって見ればドルインデックスは前日とほぼ変わらず。

今、相場変動の焦点となり、流行となっているのは、「アベノミクス・黒田日銀総裁の次の一手」と「FRBの資産買い入れプログラムの規模縮小の有無と、その時期」の二つ。

思惑と観測では、今日の日銀金融政策決定会合で、資金供給オペの期間を延長する可能性に、極端な円買いも期待できない。ただ、期待が大外れとなれば、再び97.50~99.00円のレンジに逆戻りし、予想通りの結果ともなれば、98.00~100円のレンジへかさ上げされる可能性が高くなる。

ブラード・セントルイス連銀総裁は「資産買い入れプログラムを縮小する前に、インフレ率の上昇を確認したい」と発言しているが、S&Pは米国の格付け見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げ、「財政の崖を回避し、税収の増加や長期的な財政問題への取り組みで、見通しが改善し」とコメント。米10年物インフレ連動債の利回りが、2012年1月以来初めてプラスに転じ、FRBの資産買い入れプログラムの規模縮小に動くとの観測によるものと思われる。

結果は、紆余曲折のなかで、暫くはドル高+円安の流れが変わるようなことはなさそうである。



「日銀の異次元緩和は、良く言えば実験、悪く言えばギャンブル」、早川前日銀理事の言葉。

「日銀の異次元緩和は、良く言えば実験、悪く言えばギャンブル」、早川前日銀理事の言葉。

是非の程は別として、一刀両断の発言は歯切れいい。

早川前日銀理事(富士通総研エグゼクティブ・フェロー)は、◎直近の円高・株安は安倍政権に対するイエローカードで、日銀異次元緩和は良く言えば実験、悪く言えばギャンブルで、長期金利が振れるのは当然で、日銀はじたばたすべきでない 

◎参議院選挙後に経済構造改革をないがしろにし、憲法改正だけの方向に走ったら、レッドカードが出る可能性が高く、株価はもっと下がる可能性がある ◎一番怖いのは長期金利の反乱 ◎アベノミクスのカギを握っているのは黒田日銀総裁ではなく、安倍首相。

2013年6月10日月曜日

今日も相場の動きは弱まらない

今日も相場の動きは弱まらない。

早朝から、土曜・日曜日の中国経済指標が弱いことを材料に、AUD+NZD売りから始まり、円安+日本株は大幅高。

先週金曜日の強い米株と日本株先物+ドル円の底値からの反発+安倍首相の成長戦略の第2段の期待。それと、相変わらず不思議な、米債券買い入れの縮小期待。結果は、円安+日本株は大幅高。

第1四半期GDPが上昇修正、経常収支は予想を上回り所得収支が過去最高の黒字額、貿易収支が予想・前回を大幅に上回る赤字額で、4月としては過去最大の赤字額。

今週は月曜~木曜まで中国は端午節で休日。この影響も少しは考慮しなければならない。

ドル円は、先に99円ボトムと考えられ、それを割り込んでから大幅な下落となった。もちろん、ドル円だけではなく、円クロスの要因による円買いや、株安による円買いも大きく影響を与えているが、目先は99円が大きなポイントと見ている。

そして、金曜日・月曜日のギャップとなる97.50円近辺をボトムに、97.50円~99.00円の相場展開が暫く続くと予想している。ただ、多くの市場参加者は97円台で、ロングを再構築しようとしている可能性が高く底値も限定的と思っている。

また、大幅な円高の恐怖感は消えず、やれやれの戻り売りも強くなることが予想でき、99円台はそのターゲットになりやすい。

2013年6月9日日曜日

今週の注目点!

今週の注目点!

先週のドル円相場は、値幅5.73円と激しい値動きに、恐怖感を背負った動きになりやすい。 しかし、米雇用統計直後の95円トライ後のドル買い+円売りの反動に、円買い戻しも終了し、ドル円は底値を確認したと思われる。 また、NHK日曜討論の安倍首相発言に、ややその期待感が強まる。

昨年の衆議院選挙での自民党大勝から、日本株買い+円売りを続け、今回、パニック的な円買いの主役を務めた海外ファンド筋も、ジョージ・ソロス氏が日本株再開との記事が出るなど、バーゲンハンティングの日本株価+円売りを予感させる動きとなっている。

先週、日経先物も安値12285円から切り返し13200円台で終了、米株も14844.22ドルの安値から切り返し15200ドル台まで値を戻し、終値ベースでも前週から+132.25ドル値を上げて終了したことで、その確率がさらに高くなりやすい。

ただ、大相場の後の動きは、過去の経験則から一方向に戻すよりも、やれやれの戻り売り+押し目買いの動きになりやすく、ドル円では96.50~99.00円のレンジを予想し、押し目買いから、次の円安への動きを期待したい。

ドル円のチャートでは、Dailyチャートが、ストキャスティクスが買いへと変化た。逆に、今までの上昇トレンドラインを割り込み、クラシックブレークでは98.80~99.00円がそれにあたり、この水準からは売り圧力が強まることが予想される。 

Weeklyチャートでは、ストキャスティクスが売りへと変化し、戻り売り基調が残る。しかし、過去の100円+-100ポイントの400ポイントレンジの下限まで値を下げ、予想下限の95.79を割り込み値を下げたが、終値ベースでは97.54まで値を戻し、引き続き、95.80~103.80の800ポイントレンジに逆戻りすることが予想できる。 以下は、ドル円の左Daily、右Weeklyチャート。




それ以外では、強い雇用統計にカナダドルの買いがどこまで続くか楽しみで、弱い中国成長見通しに、豪ドル+NZドルの売りが続きそうだが、中国が端午節で休みとなるまでで、週後半からはAUDの買い戻しの可能性も気になる。

また、上昇を続けているGBPAUDのロングもいいが、AUDCADのショートも強いトレンドが出ている。共に長期的な動きとなっているが、共にストキャスティクスがやや警戒感を示し始める可能性があるので、早めの利食いの必要になる可能性が高い。 以下はWeeklyチャート。




来週の経済指標では、先の土曜日・日曜日に発表された、中国の経済指標の影響を週初に受けることは避けられないが、特に最重要な経済指標の発表はなく、6月10日=日本第1四半期GDP、貿易収支、6月11日=日銀金融政策決定会合、6月12日=独消費者物価指数、英雇用統計、6月13日=NZ金融政策、豪雇用統計、米週間新規失業保険申請件数、米小売売上高、6月14日=米ミシガン大学消費者信頼感指数が、注目される。

また、中国が木曜日まで休日となり、金曜日から再開するので、この辺がある意味では変動要因となりやすい。



週明けは、AUD+NZD売りがどこまで進むのか? また、安倍首相が打ち出す、成長戦略第2段の威力は?

週明けは、AUD+NZD売りがどこまで進むのか? また、安倍首相が打ち出す、成長戦略第2段の威力は?

週末の土曜・日曜に発表された、中国の経済指標は弱く、週明け10日(月曜)の早朝からAUD売りの流れが強まることが予想される。

中国の貿易統計は輸出・輸入と大幅減少、消費者物価指数・生産者物価指数は一段と鈍化、銀行融資の伸びも予想を下回わり、先週金曜日の米雇用統計後のAUD+NZDの下落も、なぜか不気味。

貿易収支=前年同月比204億ドル(予想193億ドル 4月181.6億ドル)、輸出1.0%(予想7.3% 4月14.7%)、輸入-0.3%(予想6.0% 4月16.8%)、消費者物価指数=前月比-0.6%(予想 4月0.2%)、前年比2.1%(予想2.5% 4月2.4%)。

安倍首相(NHK日曜討論)で、「6月14日に閣議決定の成長戦略を第1弾とし、参議院選挙後の秋に、成長戦略の第2段を策定し、思い切った投資減税を織り込み、産業競争力強化法案を提出」と発言。 

6月5日の安倍首相の成長戦略第3弾を期待しながらも、見事に裏切られたことが記憶に新しい。
しかし、これで、参議院選挙=自民党圧勝=新たな成長戦略の期待もやや強まる。



FRBの債券買い入れペースの削減開始時期は?

FRBの債券買い入れペースの削減開始時期は?

先週金曜日に発表された米雇用統計を受け、結果的に、米株+日経先物が上昇し、為替相場がドル買い+円売りへと大きく変動したが、カナダの雇用統計の改善にカナダドル買いが目立ち、中国が端午節の長期休暇に入る前に、AUD+NZDドルが続落する結果となった。

FRBの債券買い入れペースの削減が始まる時期が、大幅に変更する可能性も少ない。この動きに変化がない限り、ドル高の流れが変わる可能性も低く、ドルロングのポジション調整による一時的な変動に限定されると思う。

米雇用統計では、失業率が7.5%→7.6%に上昇したが、失業者が10.1万人増えのは人員解雇の増加ではなく、仕事を辞めた人数と職探しを再開した人数が増えたことが理由と判断している。

WSJ紙の記事では、FRB高官発言として「6月18日・19日のFOMCで米経済が期待を裏切らない限り、年内に債券買い入れ策の縮小に着手する意向を示唆する可能性が高い」と言う。

問題その開始時期で、引き続き9月、10月、12月と、意見は異なるが、現在の月額850億ドルから650億ドルへ削減するとの予想は変わりない。