今週の為替相場を考える(8月24日~28日)
先週は、中国経済の減速感が強まり、中国発+新興市場国の株安が、日・欧・米へ伝播、世界的な株安は止まらず、原油価格は続落し、リスク回避の行動が強まる。
リスク回避に、主要国では国債利回りは低下、金価格は上昇。中国との貿易関連性の強い国の通貨は売られ、新興国市場の売りが続き、中国との関連性の薄い通貨は下落し、安全資産の通貨は上昇へ。
USDJPYは下落し円高、EURUSDは上昇しEUR高、NZDUSDは上昇しNZドル高へ。AUDUSDは下落しAUD安、USDCADは上昇しカナダドル安。円クロスでもEURJPY+NZDJPYでは円安、AUDJPYの下げを筆頭に、GBPJPY+CADJPYは大幅下落。
2極化する動きは、中国の景気減速感が収まり、株高へと変化しない続くドル可能性は濃厚。その中で、ドル売りの流れは、ある程度限定的と思われるも、ドルロングのポジション調整が進むまで継続する可能性も強い。
今週の相場を考えると、中国株が反転し上昇に転じることができるか? 9月の利上げ観測が強まり米金利は上昇するのか? この2点にかかっている。いつものことながら、このような情勢が続く限り弱気な資金は、リスクを避け自国へ回帰し、投機的な対象になり続けていた商品や通貨は、さらに下落するリスクを残している。
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ドル相場
本来ならば、安全資産の筆頭としての米ドルは買いとなるべきである。しかし、今回は米早期利上げ観測の後退と、米株の大幅下落に、過去に積み上げられた米資産への投資とドル・ロングポジションの調整が始まったことで売りへと変化。先週は予想外のドル売りが強まった。
この流れは簡単には収まりそうにない。この調整が終われば、いずれドル買いへ戻ることは予想できるのも、その時期は非常に不透明。
今週発表予定の、米第2四半期GDP・第2次改定値は大幅な上方修正が予想されており、米耐久財受注も強かった6月の反動に、マイナス予想となっているが、コア資本財は安定している。今週はこの二つの指標がドル相場のカギを握っている。
EURUSD 予想1.1050~1.1500 「8月9日予想1.0800~1.1000→結果1.1017~1.1386」
先週は予想外の大幅なユーロ高へ。QEで膨大な資金を供給し続け、ギリシャ第3次救済支援は本決まりとなり、追加の資金供給は本来ならEUR先安の材料となっている。しかし、最近の値動きは米株への懸念と米利上げ観測の後退がテーマ。過去のショートの巻き戻しを含め、資本筋によるユーロ買い需要が強く、元のレンジ1.0800~1.1500へ逆戻りし、今度はこの1.1500が大きなポイントになっている。
GBPUSD 予想1.5450~1.5700-1.5800 「8月9日予想1.5400~1.5600→結果1.5561~1.5722」
先週は予想外のポンド高へ。8月6日の「スーパー・サーズデー」で英早期利上げ観測が後退した。その影響を受けたポンド売りも短期間で収まり、EURGBPショートの大幅な巻き戻しに上昇力は鈍いものの、ドル安の流れに緩やかな上昇に入っている。目先は先週の高値1.5700を意識しながらも、この水準をクリアに超えてくると1.5900を目指す動きを期待したくなる。
AUDUSD 予想0.7300~0.7450 「8月9日予想0.7300~0.7450→結果0.7284~0.7388」
金価格は上昇するも、リスク回避の動きに豪ドル売りの流れは止まらず、世界的なドル売りの流れに乗れず。豪中銀の追加利下げ観測が弱まり、一時AUD買いの期待が強まったが、中国経済の成長鈍化から始まる、人民元の大幅切り下げや、中国や世界的な株価の大幅下落に、リスク回避で豪ドル売りの流れは収まらず。クロスでもAUD売りの流れが続き、8月4日以降は終値ベースで0.7300~0.7450のレンジを継続と考えたい。
USDJPY 予想120.50~123.00 「8月9日予想124.00~125.50→結果121.81~124.57」
先週は世界的な株安に予想外の円高へ。「世界的な大幅株安+米利上げ観測の後退懸念」に円買いが強まり、過去5日間の安値を割り込み、ドル売りの流れ止まらず。昨年12月上旬~5月25日まで上値を押さえていた122円の壁を上抜けした以降はドル買いの流れが続いていた。中国発の材料に一時的に120.41円まで下落したが、終値ベースで初めて122円の水準まで下落。非常に重要な水準に差し掛かっている。これを割り込むと続落へ、この水準を維持できれば再反発へ。ただし、現状では下値のリスクが強い。
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