2015年6月14日日曜日

今週の為替相場を考える(6月15日~19日)

今週の為替相場を考える(6月15日~19日)

いつものことではあるが、重要なイベントが二つ残ったままである。一つはFRBの利上げ開始の時期で、もう一つはギリシャの債務返済問題。

世界中が注目しているFRBの利上げ時期に関しては、6月17日(水曜)のFOMCとイエレンFRB議長の記者会見が最大の関心事。

5月22日にイエレンFRB議長は「年内に切り引き上げを開始することが適切」と発言、米金利は上昇を続け、米雇用統計は改善を続け、市場は9月のFOMC利上げを先取りしている動きとなっている。

今週のFOMCはイエレンFRB議長の記者会見も予定されており、注目度は絶大のものがある。今後の利上げ時期を示唆するのか? 今回のFOMCでも利上げの可能性は「ゼロ」とは言えず、注意が必要。

そして、ギリシャ債務交渉は最終局面を迎えている。6月18日のユーロ圏財務相会合がタイムリミットとの報道や、各国でギリシャのデフォルトした際の対応策を協議との報道も、EUR相場への影響は限定的。何度も裏切られた記憶は消せず、最近はやや不感症気味ながら、18日のユーロ圏財務相会合と19日のEU財務相理事会前の債務交渉に注目。


さて、それ以外では、6/15(月)のドラギECB総裁欧州議会証言、6/16(火) 豪中銀議事録(6月2日)、6/17(水) 英雇用統計、 BOE金融政策委員会議事録(6月4日)、6/18(木)  NZ第1四半期GDP、米消費者物価指数、6/19(金)黒田日銀総裁記者会見が、市場へ与えるインパクトは大きいと思われる。

※※※※※※※※※※※※※※※※※

ドル相場
オバマ米大統領の「強いドルは問題」との真贋は不明ながら、最近の米経済指標はやや強い内容が多くなっている。アトランタ連銀のGDPNowでは、強い米貿易収支に0.8%→1.1%、強い米小売売上高の改善に1.1%→1.9%へと、第2四半期GDP予測を引き上げている。金利と株価の上昇と、FRBの早期利上げ期待からドル先高期待は相変わらず強い。

EURUSD 1.0850~1.1400のレンジを予想
今週も、EURはユーロ圏経済の回復によるプラス材料と、不透明なギリシャ債務問題で、債権団とギリシャ政府との交渉決裂によるマイナス要因とが混在。特に、18日のユーロ圏財務相会合と19日のEU財務相理事会前の債務交渉に注目。

ギリシャ政府は、ユーロ圏に残りたいが、選挙公約に反する身を削る緊縮策は応じられない。ユーロ圏首脳はギリシャ・ユーロ離脱の混乱を生じさせたくはないが、自国を犠牲にしてまで、「笊」のように歯止めかからないギリシャへの追加支援はやりたくない!

ギリシャは6月末までに16億ユーロをIMFに返済する必要があり、それまでに凍結中されている金融支援の再開がなければデフォルトに陥る。このような状況でも、EURUSDの下落はある意味では限定的で、債券利回りの上昇+株価の上昇に、間違いなく資金はユーロ圏に戻っており、積極的にEURを売ることも躊躇われる。

GBPUSD 1.5200~1.5600
S&PはEU離脱の是非を問う国民投票の影響を危惧し、英国の格付け見通しを引き下げ、ムーディーズは2020年までに財政の黒字化は困難といい、英産業連盟(CBI)は成長見通しを2.7%→2.4%に引き下げた。

ただ、悪い材料ばかりではなく、貿易収支は赤字額が減少、鉱工業生産は強く、英国立統計局は算出方法の変更もあり、2015年第1四半期GDPを0.6%→0.8%に改定。タカ派のマカファティー金融政策委員は「政策を引き締め始める時が近づきつつある」と発言。材料は強弱混在するが、6/17(水) 英雇用統計、 BOE金融政策委員会議事録(6月4日)を期待したい。

AUDUSD 0.7500~0.7800
相変わらず、消費者マインドは弱く、中銀は自国通貨安政策を堅持し、利下げ継続の期待感を残している。NZ中銀の「サプライズな利下げ」「追加利下げの可能性」+「自国通貨安誘導」の影響を受けながらも、AUDUSD+NZDUSDは、主要国では負け組パターンに入っており、底値が見えない

ただ、雇用者数は予想外に改善し、住宅価格の上昇に悩まされながら、主要国で金利が上昇するなかで、どこまで利下げを継続することができるのか?やや疑問でもある。先の豪中銀の理事会では、政策金利を据え置いたが、その豪中銀議事録(6月2日)で新たな材料を提示することができるのか? 注目したい。

USDJPY 122.00~125.00
黒田日銀総裁の発言の真意は? よくわからないが、日銀が公表している円の実効為替レートは円安の警戒ゾーンにあったことも事実で、一般論から現在の円相場を評価したと考えたい。伊藤教授も同じような理由から125円を超える円安水準を警戒する発言が見られたが、為替相場は理論で決定されるものでもない。

むしろ、オバマ米大統領の「強いドルは問題」との発言をしたのか? それとも言っていないのか? 為替相場は、政治的な駆け引きで決定されることが多く、今後の新たな発言を注意したい。現状では、125円で自律的なドル売りは避けられないものの、円安方向から転換することも考えにくい。

※※※※※※※※※※※※※※※※※


6/15(月)  
16:00 バントマン独連銀総裁講演
16:30 ケント豪中銀総裁補佐公園
18:00 ユーロ圏R貿易収支
21:30 NY連銀製造業景気指数
21:30 ドラギECB総裁欧州議会証言
22:15 米鉱工業生産、設備稼働率
23:00 米NAHB住宅市場指数
5:00 米対米証券投資


6/16(火) 
10:30 豪中銀議事録(6月2日
15:00 独消費者物価指数・確報値
17:30 英消費者物価指数
17:30 英生産者物価指数
18:00 独ZEW景況感調査
21:30 米住宅着工件数


6/17(水)  
7:45  NZD第1四半期経常収支
8:50 日本貿易収支(通関ベース)
17:30 英雇用統計
17:30 BOE金融政策委員会議事録(6月4日)
18:00 ユーロ圏建設支出 
18:00 ユーロ圏消費者物価指数・改定値
3:00 FOMC 金融政策発表
3:00 イエレンFRB議長記者会見


6/18(木)
7:45 NZD第1四半期GDP
16:30 スイス中銀 金融政策発表
17:00 ノルウェー中銀 金融政策発表
17:00 ECB経済報告
17:30 英小売売上高指数
21:30 米第1四半期経常収支
21:30 米消費者物価指数
21:30 米新規失業保険申請件数
23:00 米CB景気先行指数
23:00 米フィラデルフィア連銀景況指数
ユーロ圏財務相会合

6/19(金) 
16:00 黒田日銀総裁記者会見
17:30 英公共部門純借入額
21:30 カナダ消費者物価指数
21:30 カナダ小売売上高
12頃 日銀金融政策決定会合
EU財務相理事会


0 件のコメント:

コメントを投稿