ドル底値を模索しながら、レンジ相場を形成へ。
先週の冒頭に、「ドル高を止める材料は、自律的なポジション調整とドル高懸念だけ」とのタイトルを記したが、FOMC議事録で、世界的な経済成長の減速と、ドル高が米国の景気見通しにとってリスク要因になりうるとの指摘に、早期利上げ観測が後退と、ドル高のリスクが指摘され、ドル売りの流れが強まった。ただ、通貨当局のドル高懸念に反して、米財務省筋からはその動きは見られない。
下図では、9月末と先週末10日の変化をグラフで表している。
主要通貨では、USDJPYの下落が1.8%と最も高く他を圧倒している。円クロスでは前が全面高で、特にGBPUSDとAUDJPYに対して下げ幅が大きくなっている。
原油価格は5.42%下落し、金利は世界的に低下し、英と米10年債利回りは8%以上も低下、主要国の株価も大きく下落、特に欧州と日本株価の下げ幅が大きくなり、VIXは30%を超える上昇となった。
ドル円(円相場)は、株価と金利との相関関係が高く、株高=円安、株安=円高の流れが続くことが多い。そして、日米の金利差や、日本と他国との金利差によっても動くこともある。今回は、株安+主要国の金利低下により、円の買い戻しが強まっており、為替相場は「一方通行型」から、「相互通行型」へ変化。つまり、上下のレンジ相場に入ったと考えた取引を行いたい。
今までの強気なドル買いを一時的に修正しなければならないが、現時点で考えられることは、資産買い入れを終了し、来年に利上げできるドルは、他国の通貨を圧倒していることになんら変わりはなく、長期的なポジションはドル買い。
≪今週の相場を考えるときに≫
今週の相場を考えるときに、多くの要因を想定する。1.先週の値動きとポジションの偏りがベースとなり、2.米国の金利と金利差や株価の動向を考へる。そして、3.テクニカルチャートで方向性を考えながら、4.今週の経済指標やインパクトのあるイベントや発言予定などを考慮する。
1.先週の値動きとポジションの偏り
FOMC議事録はもちろんのこと、IMFや世銀も世界経済の減速を指摘、特にユーロ圏の成長鈍化を危惧し、その影響が米国に及ぶ恐れを危惧している。そのため、FRBは利上げを積極的にアピールできにくい状況で利上げ時期の先送り感が強まり、ドルロングのポジション調整が進み、その流れが暫く続きそうである。
2.米国の金利と金利差や株価の動向
欧州を筆頭に、米長期金利の低下傾向が続いていたが、ついに米2年債利回りまで下げ始め、米国を含め世界的な株安の流れが続き、継続する可能性が高い。
3.テクニカルチャート
USDJPYの長期的な上昇トレンドに変化はないが、Dailyチャートでは108.00~20円を割り込みオシレーター系のチャートは売りへと変化。107円~108.50円、106.50~109.00円のレンジに入りやすくなっている。
EURUSDは、1.28台近くまで値を戻し、Dailyチャートは1.2600~1.2800のレンジで推移し、オシレーター系はやや買いへと変化するも、1.2800台で安定的に定着するまでは、確信が持てず。
4.今週の経済指標やインパクトのあるイベントや発言予定
経済指標では、最重要の発表はないが、14日(火曜)の英消費者物価指数、15日(水曜)の英雇用統計と独消費者物価指数、16日のユーロ圏消費者物価指数。発言では、15日のドラギECB総裁の講演、16日に集中する米連銀総裁の発言、17日(金曜)のイエレンFRB議長の講演を注目したい。
また、経済指標次第となっているFRBの利上げ時期を巡り、米国発の経済指標は全てを注目する必要があり、14日の鉱工業生・設備稼働率産、15日の小売売上高、NY連銀製造業景気指数、生産者物価指数、企業在庫、ベージュブック、16日のフィラデルフィア連銀景況指数、NAHB住宅市場指数、17日の住宅着工・許可件数、ミシガン大学消費者信頼感指数を注目したい。
豪ドルへの影響が大きい、中国の経済指標では、13日の中国貿易収支や、15日の中国消費者物価指数。発言では、14日のデベル豪中銀総裁補佐の講演を注目したい。
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