弱い米雇用統計を期待し、テクニカルにドル売りの流れへ変化した動きは、週末の強い米雇用統計を受けたドル買い戻しに変化して週が終わった。
前日3月6日と7日のクローズを比較すると、データーではドル売りの継続を示唆しているが、EURUSDは1.39台が髭で1.38台で終了し、GBPUSDは1.68台を超えられず、どうも力強さに欠けており、ドル売り再開の有無を確認するのは来週に持ち越しとなった。
逆に、円クロスでは上昇傾向が続き、新たな円安ゾーンに入る可能性を示唆している。もちろん、ウクライナ情勢の悪化と新興国市場の悪化は、円買い材料でこれらの動きに目は離せない。一方、来週月曜日の日本の経常収支とGDPは、数字の結果次第ではあるが、弱ければ絶好の円売りに利用され、データー発表には特に注意が必要。
いずれにしても、ウクライナ情勢という週末リスクを気にしながらも、なにもでなければ来週月曜日の円相場は興味深い。
前日との比較
前週との比較
***** 昨日のポイント *****
週末金曜日の海外市場は、非農業部門雇用者数は予想外に増加し過去2カ月分も上方修正され、FRBが緩和策の解除を継続との思惑に、弱い数字を予測しドル売りを強めていた相場の流れは急変し、ドル全面高へ。新興国株と欧州株は弱く米国は小幅上昇。
ウクライナ情勢はロシア・米国の首脳会談でもすれ違いが続き、米国は黒海に訓練目的として米海軍ミサイル駆逐艦を派遣し、緊張が弱まらず。
カナダの雇用統計は雇用者数が予想外のマイナスとなり、拡大した米国と対象的な結果にカナダドル売りは特に加速、USDCADは1.0980→一時1.1100直前まで上昇。
BOEのインフレと利上げ期待に関する四半期調査結果は、2015年の利上げ期待が昨年11月の34%から40%へ上昇。ポンド買いの材料で堅調に推移したが、強い米雇用統計に失速するも、ポンドはクロスでは一時健闘。
豪ドルは、アジア市場のスティーブンス豪中銀総裁の議会証言で、当面利下げなどは考えていないことを示す一方、豪ドル高を憂慮しているものの、直接けん制する発言とは繋がらず、直後のAUD売りの限定的で、米雇用統計はでAUD買いの流れが続いたが、米雇用統計の結果を受けて急落。
***** 発言・その他 *****
AUD スティーブンス豪中銀総裁=AUDUSD0.9000は歴史的にみて高水準。予想通りの景気となれば、金利安定期が続くとの可能性を示唆してき。低水準の金利で安定感が生まれ、企業や家計をある程度下支えできるはず→ 当面利下げなどは考えていないことを示す一方、豪ドル高を憂慮しているものの、直接けん制する発言とは繋がらず、直後のAUD売りの限定的。
CHN 人民元買い強まる=USDCHNは6.10を割り込み2月25日の水準へ人民元高。
CNY 中国の太陽光発電関連メーカーの上海超日太陽能科技=7日に予定していた社債の利払いを全額は履行できず。中国本土の債券市場で初のデフォル状態が発生した。
EUR メルシュECB専務理事=経済成長が再加速する局面では、供給面で十分な準備が必要。欧州銀行セクターの不良債権処理を遂行するとともに、企業の資金調達環境を改善し、中小企業への貸し出しを支える必要。
GBP BOEインフレと利上げ期待に関する四半期調査結果=来年の利上げを予想は34%(昨年11月)→40%へ上昇。現在のインフレ率を3.5%と感じており、水準は1月の実際のインフレ率1.9%をかなり上回る。向こう1年のインフレ率予想3.5%→2.8%に低下。
USD ダドリーNY連銀総裁=米経済の見通しは適度に明るいが、失業者が多くインフレ率が低く、大規模な緩和策はかなりの時間続ける必要がある。2015年半ばごろ、失業率が6.0%に近ければ利上げと、予想している市場の思惑は妥当。
USD ロックハート・アトランタ連銀総裁=非農業部門雇用者数が10万人を下回ると、3カ月連続の弱い数字となり懸念要因。悪天候が経済指標に悪影響を与え、第1四半期の景気は弱含み、第2四半期に成長が加速する見通し。雇用統計が軟調でも緩和の縮小は継続すべき。
***** ウクライナ情勢*****
1 ロシア大統領府=米ロ首脳会談でウクライナ危機の評価や対応で意見相違が判明。
2 プーチン・ロシア大統領とオバマ米大統領とウクライナ情勢で電話会談=意見相違の溝は埋まらず。オバマ大統領は外交的解決に向けた条件を受け入れるようプーチン大統領に迫ったが、プーチン大統領はウクライナでのロシアの動きに全く問題はないと主張、ロシアはクリミア半島の支配に関与していないと反論。
3 安倍首相とオバマ米大統領と電話協議=ロシアの行動は国際平和と安全保障への脅威との認識で一致。
4 欧州連銀(6日)=ロシアとのビザ発給と貿易自由化に関する協議を停止。
5 オバマ米大統領(6日)=ロシアとウクライナの一部当局者を対象に、渡航禁止や資産凍結の大統領令に署名。
6 米海軍ミサイル駆逐艦=黒海での合同演習に参加のため、ボスポラス海峡を通過。
7 ロシア外務省声明=欧州連合の対ロシア制裁措置の決定は、極めて非建設的で実施すれば報復する。
8 ウクライナ国境警備隊=南部クリミアでのロシア軍の規模が3万人と通常から倍増。
9 ロシア・ガスプロム=不払いならウクライナ向けガス供給停止。
***** 主な経済指標・その他の結果 *****
15:45 CHF 2月 失業率=3.5%(予想3.5% 前回3.5%)
15:30 CHF スイス中銀2013年 年次報告書
17:15 CHF 2月 消費者物価指数=前月比0.1%(予想0.2% 前回-0.3%)、前年比-0.1%(予想0.0% 前回0.1%)
22:30 CAD 1月 貿易収支=-1.8億カナダドル(予想-12億カナダドル 前回-9.2←-16.6億カナダドル)→ マイナス幅は予想外に縮小
22:30 CAD 2月 失業率=7.0%(予想7.0% 前回7.0%)、雇用変化-0.7万人(予想1.5万人 前回2.94万人)→ 雇用者が予想外の減少にカナダドル売りが加速
22:30 USD 2月 雇用統計: 失業率=6.7%(予想6.6% 1月6.6%)、非農業部門雇用者数=17.5万人(予想15万人 1月12.9←11.3万人 12月8.4→7.5万人)→ 失業率は上昇したが、非農業部門雇用者数は予想外に増加し過去2カ月分も上方修正され、FRBが緩和策の解除を継続との思惑に、ドル全面高へ。
22:30 USD 1月 貿易収支=-391億ドル(予想-388億ドル 前回-389.8←-387億ドル)→ 対中赤字が拡大し前回を若干上回る
0 件のコメント:
コメントを投稿