12月10日(火曜) 昨日の海外市場の動きと、今後の見通し
*** ポイント ***
◎12月18日のFOMCで量的緩和の縮小を始めることができるのか? 予想は混在、複数の地区連銀総裁はその可能性を指摘。
◎週明けの為替市場は、先週金曜日の強い米雇用統計=ドル安相場のサプライズにやや疑問をもちながらも、10月の政府機関一部閉鎖で、一時的にレイオフされた反動との観測もあり、労働人口の減少による失業率の低下が要因と思われ、ドル全面的な買いにならず。
◎結果、FRBの量的緩和の縮小開始も、12月、1月とする予想はあるが、次期FRB総裁の就任後の3月との予想も引き続き多い。いずれにしても、強い米雇用統計や強い数字にもドル高へと動かない相場に対して、ドル円を除き、ドル売り流れが続き。
◎GBPUSDの買いは継続。カーニーBOE総裁は、「英国経済は回復基調にある」、「追加緩和の効果は弱い」との発言にGBP買いが継続しドル売りの流れをリード。
◎8日(日曜)に発表された中国の貿易収支を好感してAUDUSD+NZDUSDは買い先行で始まったが、中国の消費者物価指数は予想より若干ながら弱く伸び悩み一時値を下げたが、欧米の株高に結局は元の水準に値を戻す。
◎日本の経常収支が久々の赤字転落、日本の第3四半期GDP改定値は下方修正されたが、日経平均株価が先週末比+350.35+2.29%と大幅に上昇。USDJPYは103円台の大台を維持し、実需筋の買いに底堅く103.20~50円のオプション絡みの売りを消化しながら、103.30台へ上昇。
*** 今後の見通し ***
◎USDJPYは、3日の高値103.38円を直前にして伸び悩んでいるが、上昇トレンドは変わらず。102.90~103.10円をボトムにし、103.30~50円の間に控えるオプション絡みの売りを消化しながら、上値を試す動きは暫く止まず、
◎EURUSDは、1.36の攻防を打ち破り1.37台を達成し、10月後半の高値1.3825が手の届く位置にきている。1.3670~80をボトムに1.3730の利食い売りを消化し、買いの流れは変わらず。ただ、18日のFOMCを前にして一時的な利食いの売りに注意。
◎AUDUSDは、0.9110~30の売りに上げ止まるも、0.9070を底値に緩やかに切り上がっている。弱いながらも資本筋からは0.9050近辺の買い意欲が強まっており、先の高値0.9130を試す動きが続き、0.9050~0.9150のレンジから、0.9100~0.9200のレンジへ上昇する事を期待している。
*** 発言・その他 ***
ブラード・セントルイス連銀総裁=資産買い入れペースを縮小する確率が高まった。最近の強い米経済指標に次回会合で小規模な緩和縮小を行う可能性がある。小規模な縮小を開始した上で2014年上期に状況を再評価することが可能。雇用の改善ペースは鈍化する可能性がある。
フィッシャー・ダラス連銀総裁=12月のFOMCで資産買い入れペースを縮小する余地。深刻な危機以外がなければ、FRBは緩和縮小の道筋を示す必要がある。
ラッカー・リッチモンド連銀総裁=人口の減少や生産性の伸びが弱く足元の経済は減速し、資産買い入れを継続しても効果は期待薄。金融緩和のコストが効果より高い。2014年は2%をやや上回るペースで成長、インフレは目標値2.0%に上昇、雇用と生産性はさえない状況が続く。
FRBの米第3四半期、資産循環統計=家計純資産は77.3兆ドル(+1.9兆ドル)で、住宅価格、株式、ミューチャルファンドの価値拡大で1945年来の過去最高へ。
ゴールドマンサックスのチーフエコノミスト=12月のFOMCで量的緩和の縮小可能性は除外しない。
ヒルゼンラス氏(WSJ記者)=12月のFOMCで量的緩和の縮小可能性を示唆。
カーニーBOE総裁=英国経済は回復基調にある。追加緩和の効果は限定的で、現時点でリスクが利点上回る。インフレ率は2%に向けて上昇する見通しで、注視が必要。英住宅市場の潜在的なリスクを懸念、住宅市場の加速的な動きは避けたい。
バイトマン独連銀総裁=ECBはインフレの行き過ぎた鈍化に対処する手段があり、必要があれば行動する。
ギリシャの第3四半期GDP・改定値は、予想外の低下で統計開始の1960年以来最大のマイナス幅。
ポルトガルの第3四半期GDP・改定値=2期連続の増加に景気後退の脱出を確認。
フランス中銀=第4四半期GDPの前期比予想を0.4%→0.5%に引き上げる。
メルシュECB専務理事=ECBの量的緩和は可能だが、政治・司法・経済上で多大な問題が生じる。ECBは中銀預金金利をマイナスにすることや直接の資産購入も選択肢。LTROにはリスクと副作用がある。
ファーマシカゴ大学教授・ノーベル経済学賞受賞者=11月の米雇用統計には自信が持てない。欧米諸国で財政赤字が膨らみ、信用喪失で資金調達ができなくなり世界経済の脅威となり、2014年に世界的なリセッションのリスクがある。
米財政協議=13日の期限前に最終調整が続く。
*** 経済指標の結果 ***
12:42 CHN 11月 貿易収支=338.01億ドル(予想217億ドル 10月311.1億ドル)、輸出2022.1億ドル(10月1854.1億ドル)・12.7%(予想6.2% 10月5.6%)、輸入1684.0億ドル(10月1543億ドル)・5.3%(予想6.4% 10月7.6%)→ 貿易収支の黒字額は予想を上回るが、輸出入の伸び率は予想を下回る
8:50 JPY 10月 経常収支=-1279億円(予想1489億円 前回5873億円)→ 予想外のマイナスで1月以来となる赤字転落へ、貿易収支=100919億円(予想-10055億円 前回-8748億円)、輸出58332億円、輸入69251億円、サービス収支-3137億円、所得収支13615億円、貿易サービス収支-14055億円→ エネルギー資源の輸入が相変わらず高水準
8:50 JPY 第3四半期GDP・二次速報=前期比0.3%(予想0.4% 前回0.5%)、前年比1.1%(予想1.6% 前回1.9%)→ 予想を下回り速報値から下方修正される
10:30 CHN 11月 消費者物価=前年比3.0%(予想3.1% 前回3.2%)、生産者物価=前年比-1.4%(予想-1.5% 前回-1.5%)→ 予想をやや下回る
15:45 CHF 11月 失業率=3.2%(予想3.2% 前回3.1%)
16:00 GER 10月 経常収支=191億ユーロ(予想170億ユーロ 前回200←197億ユーロ)、貿易収支・季調済=168億ユーロ(予想185億ユーロ 9月187億ユーロ)、輸出929億ユーロ・(予想 前回927億ユーロ)・(1.6%←1.7%)、輸入761億ユーロ(予想 前回740億ユーロ)・(2.9% 前回-1.9%)→
17:15 CHF 10月 小売売上高=前年比1.2(予想2.1% 前回1.0%)
18:30 EUR 12月 センティックス投資家信頼感指数=8.0(予想10.4 前回9.3)→ 予想と前回を下回る
19:00 ギリシャ 第3四半期GDP・改定値=前年比-3.0%(速報値-3.0%)、
19:00 ギリシャ 11月 消費者物価指数(HICP)=前期比-2.9%(10月-1.9%)→ 予想外の低下で統計開始の1960年以来最大のマイナス幅。
20:00 GER 10月 鉱工業生産=前月比-1.2%(予想0.7% 前回-0.7%←-0.9%)、前年比1.0%(予想3.1% 前回0.6%←1.0%)→ 前月比は予想外にマイナス幅が拡大し、前年比も弱い
20:00 ポルトガル 第3四半期GDP・改定値=前期比0.2%(前回1.1%)、前年比-1.0%(前回-2.1%)→ 2期連続の増加に景気後退の脱出が確認
22:15 CAD 11月 住宅着工件数=19.22万件(前年比予想19.5万件、前回19.83万件)→ 予想と前回を下回る
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